日本化學雜誌
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ゼラチンゲルのレオロジー的性質
荒川 泓竹中 信夫
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1962 年 83 巻 10 号 p. 1065-1067,A69

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抄録

ゼラチンの濃厚水溶液ゲルについて鎖式応力緩和計を用いて,応力緩和実験を行なった。分子量約2万のゼラチンの濃度20,25%のゲルについて約2°~250℃の温度範囲にわたり4時間までの緩和曲線を求めた。これらの曲線は3個のMaxwe11要素を並列にした6要素模型であらわすことができ,その最長緩和時間の温度依存性から求めた見かけの活性化エネルギーΔHは20,25%の場合にそれぞれ6.9,9.1kca1/mo1であった。ゼラチンゲルは熱可逆性ゲルであり,ΔHはこの場合ゲル弾性のもととなる3次元網状構造において,ゼラチン分子鎖相互を結合している2次結合に対応するものと考えられる。既報のより低濃度のゲルに関するデータも含めてのΔHについての考察から,ゼラチンゲルにおいてその網状構造を支える2次結合では水素結合が主要な役割を果していると判断される。ΔHが濃度とともに若午増大する傾向がみられるのは全体として濃度がきわめて高いので,その結合点においてまわりのセグメント,イオンなどの影響があらわれているものと考えられる。

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