日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
陰イオン交換樹脂によるシアン化アルキルの生成
浦田 能清
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 83 巻 10 号 p. 1105-1107,A71

詳細
抄録

ハロゲン化アルキルとシアンイオンで飽和した交換基をもつ陰イオン交換樹脂AmberliteIRA-400との置換反応によってシアン化アルキルの生成を試みた。その結果,ヨウ化メチルやヨウ化エチルは温度30°~50℃で1時間反応を行なうと置換比率は約100%に達し,容易にシアン化メチルやシアン化エチルとなる。しかし同一条件下では臭化アルキルや塩化アルキルはヨウ化アルキルにくらべて置換反応は困難である。たとえば80℃,1時間でヨウ化一,臭化一および塩化ブチル(n)をシアン形陰イオン交換樹脂とそれぞれ反応させた場合,置換比率は77.9,65.5および23.5%となった。
また同一ハロゲン原子をもつハロゲン化アルキルではアルキル基の炭素数が増加するにつれて置換反応は次第に困難となる。すなわち80℃,1時間でヨウ化メチル,-エチル,-プロピル(n)および-ブチル(n)の場合,置換比率はそれぞれ99.6,97.1,87.9および77.9%となった。なおこれらの置換反応を無水の溶媒(エチルアルコール,アセトン,エチレングリコール)中で行なった結果,これらの溶媒を使用した方が反応は進行しやすく,また比較的低い温度でかなりの置換反応が行なわれた。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top