日本化學雜誌
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微量フッ素イオンの比色定量
加藤 武
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1962 年 83 巻 2 号 p. 139-142,A10

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抄録

オキシ塩化ジルコニウムの微酸性溶液にニトロフェノールアルソン酸溶液を加えると白色の沈殿を生じる。この沈殿の組成はジルコニウム1原子にアルソン酸2分子の結合したものである。フッ素イオンの酸性溶液にこの沈殿を懸濁させるとニトロフェノールアルソン酸を遊離するから,この沈殿を固体試薬とする微量フッ素の比色定量法を検討した。1N塩酸酸性のフッ素試料溶液に固体試薬を懸濁させ25分間ふりまぜたのち,過剰の試薬をロ別する。ロ液にアンモニア水を加えてρH9・2~11・7とし,405mμにおける吸光度を測定して,間接的にフッ素イオンを定量する。本法により0.5~5ppmのフッ素イオンが定量できる。
なお本分析反応の機構について検討した。すなわちニトロフェノールアルソン酸および置換反応溶液の吸収スペクトルの測定,イオセ交換構脂による吸着実験などより固体試薬とフッ素イオンとの反応により生成する錯基は主として[ZrF3]+であって,本分析反応はつぎのように表わされることを明かにした。
(R・Aso3)2Zr+3H+→[ZrF3]+2R・AsO3H 2
ここにRは3-ニトロ-4-オキシーフェニル基を示す。

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