日本化學雜誌
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83 巻, 2 号
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  • 石田 真一郎, 大窪 芳子, 金子 曾政
    1962 年 83 巻 2 号 p. 121-122,A9
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一般に高分子溶液の拡散においては,拡散定数が濃度依存性を有することは周知の事実であり,その解析法は種々報告きれている。著者らは特定の指数関数を仮定し,繰返法を用いてその数値計算を行なった。その結果,著者らが採用した指数関数は与えられた濃度c1,c2の高分子溶液の接触によって始まる拡散現象によく適用しうること,また計算曲線を求めるには繰返法が簡便適切であることを知った。
  • 三橋 達雄
    1962 年 83 巻 2 号 p. 123-127,A9
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    現世より洪積世初期までさかのぼる地質時代の貝殼化石のうち,海水中に生息する斧足類のものをえらび,その中のマグネシウムーカルシウム含有比を測定した。同時に貝殼化石申のコンキオリンおよび色素など有機質の残存程度をしらべた。マグネシウムーカルシウム含有比は,現世より年代をさかのぼるにしたがって減少し,その減少率は両者の原子数比で10万年につき0.13から0.28を示すことを知った。貝殼中のマグネシウムーカルシウム含有比は海水中のそれに依存すると考えられるので,上記期間中における海水中のマグネシウムーカルシウム含有比も年代をさかのぼるにしたがって小となっていたものと考えられる。また貝殼化石申のコンキオリンおよび色素も,年代の古いものほどその検出量が少なくなるが,外観上着色の認められぬ程度に腐食した最も古い試料からも,なお両者が検出された。以上の結果は,層位学上で地層の年代推定のための一方法とすることができるものと思われる。
  • 太秦 康光, 林 謙次郎
    1962 年 83 巻 2 号 p. 127-131,A9
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    結晶性難溶性沈殿への不純物の共沈量は一般に1)試薬の添加速度が大なるほど,2)不純物の濃度が大なるほど多くなる。また,除染は沈殿の再結晶の度合に依存する。
    PbSO4-KMnO4系では,沈殿中の共沈過マンガン酸カリウムの変化量から,熟成過程での沈殿の再結晶率Fを求めることができる,このFの値は,1)試薬添加速度が大なるほど,2)過マンガン酸カリウムの共沈量が多いほど,3)共沈量が同程度の場合は試薬の灘が大なるほど増加することがわかった・それゆえ不勧の共沈量は沈殿の生成条件と熟成過程での再結晶の度合で決まる。硫酸バリウムへの鉄(II)の共沈についての類似の研究結果,その他から一般に,より純粋な沈殿を得る方法として,大過剰の沈殿剤を濃い溶液にすみやかに加えて熱力学的に不安定な沈殿を生成きせたのち,希釈して熟成過程ではげしく再結晶を起させるのがよいことがわかった。この結果はシュウ酸カルシウムへのヨウ素酸イオンの共沈について得られた結果とよく一致する。
  • 小林 悦郎
    1962 年 83 巻 2 号 p. 132-136,A10
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピロリン酸二水素ニナトリウムのイオン交換反応によってピロリン酸水溶液をつくり,アンモニアで中和し,(NH4)3H2o,(NH4)4P2o7・4.5H2o,(NH4)4P2o7・4.5H2oを合成してその性質を調べた。
    1.ピロリン酸二水素ニアンモニウムを水で再結晶(20~0℃)したものは無水塩である。その水溶液は酸性(pH4.4),したがって加水分解をうけやすい。
    2.ピロリン酸一水素三アンモニウムはいままで知られていなかったが,その存在を確認した。水で再結晶(40~0℃)したものは5水塩,水溶液はアンモニア性(pH8.4)を示し,(NH4)3HP2o7の溶解度はつぎのとおりである。温度(℃)0203040506070溶解度(g/100gH2o)45.551.063・573.179.687.598.8
    3.ピロリン酸四アンモニウムはアンモニアの大過剰のもとでつくることはできるが,水に溶けてincongruentsolutionを与えるため精製することができない。従来は無水塩と伝えられているが,4.5水塩程度のものを得た。
  • 小林 悦郎
    1962 年 83 巻 2 号 p. 136-138,A10
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピロリン酸四カリウムのねばった飽和溶液と液底体を高速度遠心沈殿器によって分離し,その溶解度を測定した。
    K4P2o7の溶解度
     温度(℃)0 20 30 50 70 90 100溶解度(g/100gHo) 191.5 196.7 200.3 206.1 220.6 234.1 260.4
    その水和物を3水塩と伝えられているが,純粋の試料を用いて生成した水和物の分析値と加熱減量から,0°~79℃において3.5水塩を認め,155℃以上で無水塩になる。
    なお塩は水との親和力が強く,水溶液の比重,粘度は比較的大きい。
  • 加藤 武
    1962 年 83 巻 2 号 p. 139-142,A10
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    オキシ塩化ジルコニウムの微酸性溶液にニトロフェノールアルソン酸溶液を加えると白色の沈殿を生じる。この沈殿の組成はジルコニウム1原子にアルソン酸2分子の結合したものである。フッ素イオンの酸性溶液にこの沈殿を懸濁させるとニトロフェノールアルソン酸を遊離するから,この沈殿を固体試薬とする微量フッ素の比色定量法を検討した。1N塩酸酸性のフッ素試料溶液に固体試薬を懸濁させ25分間ふりまぜたのち,過剰の試薬をロ別する。ロ液にアンモニア水を加えてρH9・2~11・7とし,405mμにおける吸光度を測定して,間接的にフッ素イオンを定量する。本法により0.5~5ppmのフッ素イオンが定量できる。
    なお本分析反応の機構について検討した。すなわちニトロフェノールアルソン酸および置換反応溶液の吸収スペクトルの測定,イオセ交換構脂による吸着実験などより固体試薬とフッ素イオンとの反応により生成する錯基は主として[ZrF3]+であって,本分析反応はつぎのように表わされることを明かにした。
    (R・Aso3)2Zr+3H+→[ZrF3]+2R・AsO3H 2
    ここにRは3-ニトロ-4-オキシーフェニル基を示す。
  • 日色 和夫
    1962 年 83 巻 2 号 p. 143-147,A10
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者はさきに水溶液中でホウ素とすみやかに呈色反応をおこない,ホウ素の吸光光度定量(測定波長414mμ)に用いられる試薬としてスチルバゾを提案した。本報においてはホウ素とスチルバゾとが反応して,スチルバゾ試薬自身の480~600mμにおける吸収が減少することを利用してホウ素の吸光光度定量をおこなう,いわゆる間接法について検討をおこなった。得られた最適の定量条件は,スチルバゾ試薬濃度0.07%溶液5.0ml/25.0mZ,緩衝溶液濃度1mol/l溶液1.0mol/25.0ml,ρH8.7~9.0,測定波長548mμであった。この定量条件で検量線をもとめた結果,0.00~1.60ppmのホウ素量の範囲内でBeerの法則にしたがう直線関係が得られ,誤差は2.00%,もとめられた分子吸光係数は17℃でホウ素について3.38×103であった。以上の検討の結果,本間接吸光光度法では直接法にくらべて感度を約2.5倍向上することができた。本法は水溶液中で呈色反応がおこなねれるため操作が簡単であり,かつ共存する金属イオンの多くはEDTAを加えてその妨害作用を(いんぺい)除去できる長所をもっている。
  • 松本 毅, 石田 良一, 白浜 晴久
    1962 年 83 巻 2 号 p. 147-149,A10
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ρ-ニトロベンゾイルクロリドと塩化ビニルとのFriedel-Crafts反応でρ-ニトロフェニル-β,β-ジクロルエチルケトン(X)を得た。Iは熱分解によりρ-ニトロフェニル-β-クロルビニルケトン(II)となった。IあるいはIIをメタノ-ル性水酸化ナトリウムで処理するとρ-ニトロベンゾィルアセトアルデヒドジメチルアセタ-ル(IV)が得られ,IVを臭素化すると,条件によりρ-ニトロベンゾイルブロムアセトアルデヒド(VI)あるいはρ-ニトロフェニル-α-プロム-β-メトキシビニルケトンを与える。VおよびVIのウロトロピンとの反応ではウロトロピン臭化水素酸塩のみが確認された。vをMeerwein-Ponndorf還元するとアルコ-ル(VI)が得られ,VIは酸により容易にρ-ニトロ-α-プロムケイ皮アルデヒドとなった。
  • 大島 昇, 三井 生喜雄
    1962 年 83 巻 2 号 p. 149-153,A11
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンジルアルコール,フェニルベンジルエーテル類,アルキルベンジルエーテル類,ペンジルエステル類および数種のカルボニル化合物をパラジウム炭またはラネーニッケルを触媒として接触還元したときの酸または各種塩基性物質添加の影響を調べた結果,パラジウム炭触媒では少量の酸の添加は水素化分解およびカルボニルの還元を促進し,一方塩基の添加は一般に水素化分解およびカルボニルの還元を抑制した。しかし水素化分解で酸性物質(フェノール類またはカルボン酸類)を生成する場合にはその速度を促進し,ラネーニッケル触媒も水酸化ナトリウムを添加したときは同様であるが,有機塩基では遅くなった。
  • 加藤 清
    1962 年 83 巻 2 号 p. 153-156,A11
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N-ビニルフタルイミド(I)・N-(2-ムビニル)フタルイミド(I)およびN-(2-クロルビニル)フタルイミド(II)をジオキサン溶媒中でかトルエンスルホン酸,リン酸あるいは硫酸を触媒としてパラホルムアルデヒドと反応させるとそれぞれに相当する4-フタルイミド-1β-ジオキサン(IV)・4-フタルイミド-5-プロム-1,3-ジオキサン(V)および4-フタルイミド-5-クロル-1,3-ジオキサン(VI)が得られることがわかった。
  • 広岡 脩二
    1962 年 83 巻 2 号 p. 156-161,A11
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一般式RC6H4SO2NR'''CXNR'R''で表わされるN-置換ベンゼンスルホニルチオ尿素(X=O)および1V一置換ペンゼンスルホニル尿素(X=0)の合成を試みた。ベンゼンスルホンアミド類は,アセトン申炭酸カリウムの存在でイソチオシアン酸アルキルと反応してRC6H4SO2NCSNHR'(I)を生じ,またN,N-ジアルキルチオカルバミン酸塩化物と反応してRC6H4SO2NHCSN(R')2と推定される生成物(II-A)を与えた。さらにN-置換ペンゼンスルホンメチルアミドは前記塩化物と反応してRC6H4SO2N(CH3)CSN(R')2(II)を与えた。同じ条件下でスルファニルアミドは従来の文献とは異なり,イソチオシアン酸アルキルおよびシアン酸カリウムとそのスルホンアミド基で優先的に反応し,アミノ基は不変であった。1はアルカリ性水溶液中過酸化水素または酸化水銀によりRC6H4SO2NHCONHR3に脱硫された。またII-Aは温アルカリ水溶液あるいはアルカリ性過酸化水素水により脱硫されてRC6H4SO2NHCON(R')2(IX)を与えた。ただしIIIは脱硫されなかった。N,N-ジエチルカルバミン酸塩化物は対応するベンゼンスルホンアミド類と反応して,IXおよびRC6H4SO2N(CH3)CON(C2H5)2を生じた。
  • 岩波 泰夫
    1962 年 83 巻 2 号 p. 161-165,A11
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アセチレンジカルボン酸ジエチル(I)に4-メチル-1,2-ジアミノベンゼン(II)を作用させて7- メチル- 2- オキソ- 3- エトキシカルボニルメチレン- 1,2,3,4- テトラヒドロキノキザリン(II)およびその異性体6- メチル- 2- オキソ- 3- エトキシカルボニルメチレン- 1・2・3・4- テトラヒドロキノキザリン(IV)を得た。このIIIおよびIVを塩酸で加水分解すると,それぞれ7- メチル- 2- オキソ- 3- メチレン- 1,2,3,4- テトラヒドロキノキザリン(V)および6- メチル- 2- オキソ- 3- メチレン- 1,2,3,4- テトラヒドロキノキザリン(VI)と炭酸ガスとを生成し,相当する酸7- メチル- 2- オキソ- 3- カルボキシメチレン- 1,2,3,4- テトラヒドロキノキザリンおよび6- メチル- 2- オキソ- 3- ヵルボキシメチレン- 1,2,3,4- テトラヒドロキノキザリンは得られなかった。このIIIおよびIVのメチル基の位置を決定するために・N-(4- メチル- 2- ニトロフェニル)- アラニン(VII)を還元して3,7- ジメチル- 2- オキソ- 1,2,3,4- テトラヒドロキノキザリンVIIIを合成し,Vを還元して得られたものがこの孤と同- 物質であることからIIIの構造が決定された。またMarksおよびSchultzが- (2- アセトアミノ- 5- メチルフェニル)- アラニンエチルエステル(X)を加水分解して生成する3,6- ジメチル- 2- オキソ- 1,2,3,4- テトラヒドロキノキザリン(XI)を過酸化水素で酸化してVIもしくはその互変異性体である3,6- ジメチル- 2- オキソ- 1,2- ジヒドロキノキザリン(VIII)と思われるものを得たことを報告しているが,これは誤りであり,追試の結果彼らが得た物質は3,6- ジメチル-2- オキソ- 1,2- ジヒドロキノキザリン- 4- オキシド(XII)であった。IIIおよびIVの構造は赤外吸収スペクトルの測定により確かめられた。
  • 広岡 脩二
    1962 年 83 巻 2 号 p. 166-168,A11
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    置換ベンゼンスルホニルグアニジンには多くの製法が知られている。著者はイソチオシアン酸アルキルとベンゼンスルホンアミド類から得られるN-置換ベンゼンスルホニルN'-しアルキルチオ尿素を,アンモニアまたはアミンの水溶液申酸化水銀で処理することにより,各種のN-置換ベンゼンスルホニル-N'-アルキルグアニジン類が容易に合成されることを見いだした。アミンとしてモノおよびジアルキルアミン,モノエタノールアミン,ヒドラジンが用いられた。またこの方法によりベンゼンスルポニル基の結合位置の明確な,新しい化合物が合成された。
  • 岩井 浩一
    1962 年 83 巻 2 号 p. 168-172,A12
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩基性タンパク質クルペインの弱酸部分加水分解を,蒸留水中のカルボン酸型イオン交換樹脂AmberliteXE-64(H形)に吸着させて,また0。5Nシュウ酸中の溶液として(いずれも他の陰イオン不含)試みた。加水分解の初期(2~24時間)における分解率は,既報の塩酸部分加水分解と比較すると,6N塩酸(21℃)樹脂(100℃)シュウ酸(100℃)1N塩酸(100℃)の順となる。樹脂加水分解の特性は,ポリペプチド鎖の塩基性断片は樹脂上に保留され分解を受けつづけるが,申牲断片は脱離して分散媒申に移ることにある。このような中性断片の平均アミノ酸残基数が1.5~2であったことは,アルギニン残基問に中姓残基が少なくとも2個連結した部分のあるポリペプチド鎖構造を示唆する。またこれら申性断片の構成アミノ酸から見ると,この加水分解の特異性(切断結合の種類に関する)は希塩酸加水分解にかなり類似する。シュウ酸による加水分解物の分析からは,予期されたC=末端残基の遊離よりもペプチド鎖内部での結合切断が先に起こると判定される。切断された結合の種類から見ると,この加水分解の特異性も希塩酸加水分解に類似する
  • 榊原 賢明
    1962 年 83 巻 2 号 p. 172-174,A12
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    5,8一ジエトキシキノキザリンの各種誘導体を合成する目的で,1,4一ジエトキシー2,3一ジァミノベンゼン(IV)にジアセチル,ベンジル,フエナントレンキノンおよびシュウ酸ジエチルを縮合させて・新化合物2・3一ジメチルー5・8一ジエトキシキノキザリン(VI)・2,3一ジフェニルー5,8一ジエトキシキノキザリン(VII),5,8一ジエトキシジペンゾ[a,c]フェナジン(VIII)および2・3一ジオキシー5,8一ジエトキシキノキザリン(IX)をそれぞれ合成した。また,5,8一ジエトキシキノキザリンー2,3一ジカルボン酸(X)のジメチル(XI),ジーnプロピル(XII)およびジ-n-ブチルエステル(XIII)を新たに合成した。なお,Xを無水酢酸で処理して,その無水物(XIV)を合成し,XIVとアルコールとを熱して,Xのモノメチル(XV),モノエチル(XVI),モノ-n-プロピル(XVII)およびモノイソプロピルエステル(XVIII)を新たに合成した。
  • 横山 泰
    1962 年 83 巻 2 号 p. 175-179,A12
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    β一オキシーα,α一ジメチルーβ一フェニルプロピオン酸エチル(I)はベンゼン中五酸化リンにより,エトキシカルボニル基の1・2一転位したジメチルアトロバ酸エチル(II)を生成するD。これが脱水試剤の特殊性によるか否かを確かめる目的で種々の脱水剤を用いた結果,1はきわめて脱水され難いが多量の濃硫酸と処理するとジメチルアトロバ酸と若干のメチル基の転位し元生成物が得られることを見いだした。またこのカルボキシル基の転位が一酸化炭素の脱離と再付加による分子間転位でないことを確かめた。Iのρ-メチル,ρ一クロル置換体も同様の転位を起すことを見いだした。これら脱水反応に関連して脱臭化水素反応を検討する目的で,β一プロムーα,飴ジメチルーβ一フェニルプロピオン酸エチル(II)の液体アンモニア中カリウムアミドとの反応を行なった結果,カルボキシル基の1,2一転位したジメチルアトロバ酸アミドが得られることを見いだした。IIの硝酸銀との反応では置換隼成物のみが得られた。
  • 横山 泰
    1962 年 83 巻 2 号 p. 180-182,A12
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    β-オキシーα,α-ジメチルプロピオン酸エチル(I)はベンゼン中五酸化リン脱水により,メチル基の1,2-転位した生成物をあたえるが,この際カルボキシル基の転位した生成物は得られなかった。Iはまた濃硫酸脱水によって,メチル基の1,2-転位したチグリン酸を生ずることを見いだした。
    β-ブロムーα,α-ジメチルプロピオン酸エチル(II)の液体アンモニア中カリウムアミドによる脱臭化水素を行なったが,この場合は置換生成物とともに,α,β-ジメチルアクリル酸アミドが得られ,塩基触媒の条件下でもメチル基の転位が優先することが認められた。第1~3報の結果にもとづいて,これらの転位の機構を考察した。
  • 中林 利平
    1962 年 83 巻 2 号 p. 182-187,A13
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    セリ科植物トサバウフウAngelica saxicola var. Yoshinagae Murata et Yamanaka から3種の結晶牲成分mp138.2℃(I),152℃(II),172℃(III)を単離した。Iはアンゲリシン,Iはオロセロールであった。IIIは組成C14H16O5で新クマリンと思われカルキコリン(Calcicolin)と命名し化学構造を調べた。IIIは8位に側鎖をもつウムベリフェロン誘導体で酸接触でIとイソプロピルアルコールを与え,赤外,紫外吸収スペクトルやトリフェニルテトラゾリウムクロリドを還元することおよびアセタールを生成することから,IIIに対して半アセタール構造すなわち8-(β-オキシ-β-イソプロポオキシエチル)一ウムペリフェロンの構造を推定した。
  • 湖浜 重実
    1962 年 83 巻 2 号 p. 188-191,A13
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    "シラノラート法"によりおのおの結晶性のメチルビニルシランジオール,エチルビニルシランジオール,フェニルビニルシランジオール,α-プロムフェニルビニルシランジオール,ベンジルビニルシランジオール,α-ナフチルメチルビニルシランジオールを簡単かつ好収量に合成した。これらシラノールの性質および反応性を検討し,これらが重合性を有し,またベルジルビニルシランジオールは臭素化によって相当する二臭化物を与え,水素還元によう相当するエチル誘導体を生成することを見いだした。さらに相対的酸度の測定結果からケイ素~炭素二重結合牲についての考察を行なった。
  • 梶返 昭二
    1962 年 83 巻 2 号 p. 191-194,A13
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    9-ブロム-9,9'-ビフルオレニル(IV)と9-フルオレニルリチウム(VI)との反応により,9-(9-フルオレニル)-9,9'-ビフルオレニル(I)のβおよびγ異性体が得られた。またWに臭化-9-フルオレニルマグネシウムを作用させてIのβ形を得た。さらに9,9-ジクロルフルオレン(V)にVIを作用させてIのβ形を得た。ついでIVとn-ブチルリチウムとのハロゲン-金属交換反応生成物である9-(9,9'-ビフルオレニル)リチウムに,9-プロムフルオレン(XII)を反応させてIのβ形を得た。またVおよびVIIのキシレン溶液に銅粉を加え,長時閥煮沸させて得られた反応物から,1のβ形を分離し,その生成の機構を溶液申における遊離基反応Iによって説明した。さらにまた,9,9'-ジブロム-9,9'-ビフルオレニルとVIとの反応物からIのβ形を分離し,ハロゲン-金属交換反応によりその生成を説明した。
  • 伊藤 安正
    1962 年 83 巻 2 号 p. 195-197,A13
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カルボン酸とアルコールの直接の反応によるエステルの合成において,反応系から生ずる水をモレキュラーシープにより除いて収量をあげることを試みた。その結果,(1)エチルエステルのときは,カルボン酸に立体障害のないとき,短時間で定量的に近い収率が与えられ,トリメチル酢酸のような立俸障害のある酸でも比較的よい収率が得られた。(2)メチルエステルのときは,エチルエステルのようによい結果ではなかったが,適当な共沸混合物を利用すると相当によい収率が得られた。(3)高級アルコールと高級カルボン酸のときは,水と共沸混合物をつくりやすい溶剤を用いて低温度で合成することができた。(4)アルコールに立体障害のある場合にも,ある程度の収率をあげることができた。
  • 山羽 力
    1962 年 83 巻 2 号 p. 198-203,A13
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    大型フラクションコレクタ-を試作し,パン酵母からUDPG*1,UDPAG,GDPMを多量に分離精製し,UDPGをグルコシル供与体として,
    (1)UDPG+ジフェノ-ル→UDP+ジフェノ-ル-β-グルコシド
    (2)UDPG+フェノ-ル-β-グルコシド→UDP+フェノ-ル-β-ゲンチオビオシド
    をそれぞれ触媒する2種類の酵素を小麦胚芽から分離精製した。(1)の反応に関する酵素は,ジフェノ-ル,トリフェノ-ルに特異的に作用するが,モノフェノ-ルには作用しない。(2)の反応に関する酵素は一般に,フェノ-ルおよびその誘導体のグルコシドに作用する。その他両酵素の諸性質を調べた。
  • 清水 隆八
    1962 年 83 巻 2 号 p. 203-206,A14
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    プンメラ-ケトン類似体(I)の合成原料として,3-シアノメチル-2-エトキシカルボニル-3,5-ジメチルクマランの合成を試み,そのトランス体(X)がつぎのようにして得られた。2-アセチル-4-メチルフェノ-ル(III)とモノブロム酢酸エチルとの反応から2-アセチル-4-メチルフェノ-ル-o-酢酸エチル(IV)を得,これにシアン酢酸エチルを作用させ,幾何異性体α-シアノ-5,β-ジメチルクマル酸エチル-o-酢酸エチル(Va),α-シアノ-5,β-ジメチルクマリン酸エチル-o-酢酸エチル(Vb)を得た。これらの加水分解,脱炭酸,エステル化は同一物質5,β-ジメチルクマロニトリル-o-酢酸エチル(VII)を与え,そのミハエル反応によりXが合成された。Xとともに,副産物Cl7H2304Nが得られ,構造が明かにされた。
  • 小野垣 俊男
    1962 年 83 巻 2 号 p. 206-208,A14
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    北海道産ハッカ油(Mentha arvensis var.)申の低沸点成分からはじめて2-イソプロピルシクロペンタノンを分離確認した。このものは強いエーテルようのにおいをもつ油状物で,酸化銅を溶解して緑青色を呈し,加温すると暗灰色に退色する。性状は・bp760;175℃;bp238.5℃;d2840.9105;n20D1.4419で光学不活性であり,いくつかの誘導体および紫外・赤外吸収スペクトルにより確認し,さらにシクロペンタノンから合成して同一物であることをたしかめた。
  • 岡宮 二郎
    1962 年 83 巻 2 号 p. 209-211,A14
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    α-ハロケトンとチオセミカルバジド類との中性アルコール溶液中での脱ハロゲン化水素反応の速度を電気俵導度法により求めた。反応速度はチオ尿素,チオセミカルバジドぞフェニルチオセミカルバジドの順に遅くなる。m-およびρ-置換臭化フェナシルの場合にはHammett則が成立する。フェニルチオセミカルバジドとの反応の結果得られる2-アミノ5-ρ-アミノフェニルチアゾール類についても言及した。
  • 島立 利貞
    1962 年 83 巻 2 号 p. 212-213,A14
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    D-リボフラノースアセタートとプリン誘導体を,ρ-トルエンスルホン酸あるいは塩化亜鉛の存在で加熱溶融して縮合し,リボヌクレオシド類を合成する方法についてはすでに報告したが,同じ方法により,二,三のアルドースアセタートとテオフィリン(I)の縮合反応を試みた。
    D-グルコピラノースアセタートとIを縮合し,脱アセチルしたところ,1とテオフィリングルコシドの当モル複塩と考えられる結晶が得られた。
    また,D-ガラクトピラノースアセタートおよびP-アラボフラィースアセタートに,それぞれIを反応し,脱アセチルして,低収率ながら目的のヌクレオシドを得た。
  • 島立 利貞
    1962 年 83 巻 2 号 p. 214-217,A14
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,2,3トリ-Ο-アセチル-5-デオキシ-5-ヨード-β-D-リボフラノース(IV),そのα-アノマ-(V),1,2,3-トリ-Ο-アセチル-5-Ο-メチル-β-D-リボフラノース(VI)およびそのα-アノマ-(VII)を調製し,それぞれテオフィリン(I)と混合し,ρ-トルエンスノヒホン酸または塩化亜鉛を触媒として,加熱溶融することにより縮合した。
    またρ-クロルフェノール(X)と1,2,3,5-テトラ-Ο-アセチル-β-D-リボフラノース(II)およびそのα-アノマ-(III)を,それぞれHe1ferich法により縮合し,II,IIIのプリンに対する反応と比較検討した。
    つぎに,1-Ο-アセチル-2,3,5-トリ-Ο-メチル-α,β-D-リボフラノース(XI)を合成し,これと1またはXとの縮合反応を試み,D-リボフラノース誘導体の置換基の,反応性におよぼす影響について考察した。
  • 丸岡 昌路, 去来川 覚三, 九鬼 利郎, 伏崎 弥三郎
    1962 年 83 巻 2 号 p. 218-222,A15
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルデヒドコリジンの直接クロム酸酸化によって合成した2-メチル-5-アセチルピリジンを原料として種々の2-メチル-5-置換ピリジン誘導体の合成をこころみた。2-メチル-5-アセチルピリジンをジオキサン溶媒中,硫化アンモニウムとイオウを加えて加圧下で反応を行なうと2-メチル-5-ピリジンアセトアミドが得られ,アセトアミドのHofmann反応によって2-メチル-5-アミノメチルピリジンを合成した。またアセトアミドより2-メチル-5-ピリジル酢酸およびそのエステルを合成した。つぎに2-メチル-5-アセチルピリジンをギ酸アンモニウムと反応させてギ酸塩としたのち2-メチル-5-(α-アミノエチル)ピリジンを得た。ラネ-ニッケルあるいはラネ-コバルト触媒による2-メチル-5-アセチルピリジンの高圧接触還元,塩酸酸性溶液中亜鉛アマルガムによる還元,あるいはアルカリ存在下でのアセチルピリジンのヒドラゾンの還元においては,2-メチル-5-エチルピリジンあるいは2-メチル-5-(α-オキシエチル)ピリジンを得た。2-メチル-5-アセチルピリジンを次亜臭素酸塩で酸化すると6-メチルニコチン酸が得られ,オルトギ酸エチルエステルとの反応では2-メチル-5(α-ジエトキシエチル)ピリジンが得られた。2-メチル-5-アセチルピリジンのカルボニル基に隣接する活性メチル基の反応としては,ハロゲン化により2-メチル基-プ質ムアセチルピリジンおよび2-メチル-5-クロルアセチルピリジンを合成し,2-メチル-5-プロムァセチルピリジンからはDelepine反応によって2-メチル-5-アミノアセチルピリジンを得たアクリロニトリルによるシアノエチル化では1,1,1-トリ-(β-シアノエチル)メチル-2-(2'-メチル-5'-ピリジル)ケトンが得られた。
  • 長谷部 昇
    1962 年 83 巻 2 号 p. 222-224,A15
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリリン酸によるフラバノン類の合成研究を継続し,フロログルシンとβ-メチルケイ皮酸とから縮合生成物としてmp213℃の無色結晶を得,分析値,赤外吸収およびラクトン滴定からジメチル-フラノフラバノンの構造を有することを決定した。同様にして,フロログルシンとケイ皮酸との縮合生成物もフラノフラバノン類であることを認めた。
  • 長谷部 昇
    1962 年 83 巻 2 号 p. 224-226,A15
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フェノール類とケイ皮酸およびその誘導体とのポリリン酸による縮合反応で,フェニルヒドロクマリン類ならびにフラバノン類を得たことは前報で述べたが,さらに他のフェノール類とケイ皮酸誘導体との反応生成物について検討した。そして,m-およびO-クレゾールとβ-メチルケイ皮酸とからそれぞれ4,7-(mp136°~137℃)および4,8-ジメチル-4フェニルヒドロクマリン(mp129°~130℃)を得,α-ナフトールとβ-メチルケイ皮酸およびβ-ナフトールとα-エチルケイ皮酸とからはともにエステル(mp150°~151℃,80°~81℃)の生成に終り,さらにピロガロールとヒドロケイ皮酸との縮合反応をあわせ試み,2,3,4-トリオキシ-ω-ベンジルアセトフェノン(mp86°~87℃)を得た。
  • 中村 清, 中島 路可
    1962 年 83 巻 2 号 p. 226-227,A15
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 梶返 昭二
    1962 年 83 巻 2 号 p. 228-229,A15
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 吉岡 美鶴, 浜元 要, 窪田 種一
    1962 年 83 巻 2 号 p. 229-230,A16
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 小田 良平, 山本 経二
    1962 年 83 巻 2 号 p. 230-231,A16
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 83 巻 2 号 p. A9-A16
    発行日: 1962/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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