日本化學雜誌
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0°K気体モノオレフィン炭化水素分子エネルギーの一般構造配分則
藤本 武彦新宮 春男
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1962 年 83 巻 4 号 p. 364-368,A25

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抄録

オレフィン炭化水素の分子エネルギーを不安定化,運動,および共有連結の3エネルギー項からなるとしてそれぞれをパラフィン炭化水素の分子エネルギー加成則に準じて構造要素に配分し,0°K気体オレフィン炭化水素の分子エネルギー加成則を導びいた。この際C=C結合と他の一重結合との間の不安定化エネルギー項に関してC=C結合をC-C結合2個に等価であるとみなして取り扱うことにより良好な近似式がえられる。
Δ(0°K気体オレフィン)
=Σ(H0+EC-Hzero)+Σ(C0+EC-Czero)+(CF0+EC-Czero+Echain)+ΣRn(n≧1)+(1/2)ΣRn(n≦2,C-H)
+ΣECH3-C-C+ΣEendzerokcal/mol
ただし,CF0=-176.532kcal/molはC=C結合の共有連結エネルギー項である。ヘキセン以下の全異性体29個に対する実際運用上10個のパラメーターによる分子エネルギー計算値の平均誤差は±0.21kca1/mo1である。すなわち,C=C結合に関する追加パラメーター2個を除き,パラフィンと同一の経験則がオレフィンに対して成立する。この経験則により上記29化合物の水素添加熱も±0.28kcal/molの平均誤差で計算される。これらの結果を総合して,少なくともモノオレフィンの分子エネルギーについてはいわゆる超共役などの特別な取り扱いを考慮する必要がないことが結論された。

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