日本化學雜誌
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溶液中におけるポリアクリル酸の分子の広がりにおよぼす中和度の影響
坂元 隆一今堀 和友
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1962 年 83 巻 4 号 p. 389-395,A26

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抄録

高分子量のポリアクリル酸の水溶液について,その中和度に対する粘度,光散乱,流動複屈折の変化を測定し,分子の広がりや分子間の相互作用との関係について研究した。水溶液中でのポリアクリル酸分子の広がりは,中和度40%までは中和度の増加とともに大きくなるが,それ以上の中和度ではかえって小さくなる。 粘度,光散乱,流動複屈折の測定結果は一致してこの傾向を示した。この現象は中和度の小さいところでは中和度の増加とともに電離基密度が高くなり,その反ばつ力で分子の広がりが大きくなるが,中和度の大きいところでは対イオンの固定により電離基間の反ばつ力の遮蔽が起るためと考えられる。ηsp/C~C曲線は申和度に対していちじるしい変化を示すことが明らかになった。これは中和度の小さいところでは分子の広がりの濃度に対する変化の影響が大きいが,中和度の大きいところでは分子間の相互作用の影響が大きいためと考えられる。光散乱測定でも中和度60%以上では分子間の相互作用の影響が強いことが示された。

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