1962 年 83 巻 4 号 p. 395-397,A27
ドデシル硫酸ナトリウムとこれにより水溶牲化されたポリビニルアセテートのような水に不溶性の高分子との溶液について, イエローOBに対する可溶化能および粘度的挙動を検討した。また, 水溶性高分子としてポリビニルピロリドンなどを選び, これとドデシル硫酸ナトリウムとの溶液の性質と比較した。高分子が共存する溶液はドデシル硫酸ナトリウムのみの溶液よりも可溶化能が大きく, かつその臨界ミセル濃度以下においても可溶化現象が見られた。水に不溶性の高分子と水溶性の高分子とでは可溶化に対する挙動に差異が認められた。水に不溶性の高分子の可溶化能を増大させる効果はポリビニルアセテート>ポリビニルホルマール>ポリビニルプチラールの順であった。 高分子/ドデシル硫酸ナトリウム-比を一定にした溶液の還元粘度(ηsp/Cp)は良溶媒中でのηsp/Cpよりかなり大きい。しかし, 高分子濃度の低下にともない急激にηsp/Cp も減少し, 良溶媒中でのηsp/Cpに近づく傾向がみられた。水に不溶性の高分子と水溶性の高分子が同じ実験結果を示すことがあっても, その機構は必ずしも同じでないことを推定した。
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