1962 年 83 巻 4 号 p. 421-425,A28
DL-グルタミン酸に対して塩酸または水酸化ナトリウムが1当量以下存在するDL-グルタミン酸の飽和溶液にDL-グルタミン酸一水和物と活性グルタミン酸を液底体として共存させた状態で30℃でかきまぜると,液底体のDL-グルタミン酸は分割される,すなわち液底体としてのDL-グルタミン酸一水和物は溶解し減少するが,かわって活性グルタミン酸が結晶として晶析し,またその対掌体は溶質の1成分として液相中に溶存することを確認した。この分割の程度はかきまぜ時間と速度,液底体として存在する活性グルタミン酸およびDL-グルタミン酸一水和物の粒度および量などによって異なるが,液相中の全溶質グルタミン酸濃度に比例した。温度については24.5℃では30℃の場合と同様な結果がえられたが,45。,60。および10℃ではいずれもほとんど分割は行なわれなかった。また液底体としてDL-グルタミン酸一水和物を用いるかわりにDL-グルタミン酸を使用した場合はこれらどの温度においても分割は行なわれなかった。これらの結果についてDL-グルタミン酸,DL-グルタミン酸一水和物,活性グルタミン酸の溶解度とその温度係数,すなわちその溶解熱にもとついて考察を加えた。
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