日本化學雜誌
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タングストマンガン(IV)酸塩の合成と性質
大内 昭松本 洋吉野 諭吉
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1962 年 83 巻 4 号 p. 438-443,A29

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抄録

タングストマンガン(IV)酸塩は, 従来5-タングストマンガン(IV)酸塩である3Na20・5WO3・MnO2・18H20のみが知られていたが, 6-タングストマンガン(IV)酸塩である4K2O・6WO3・MnO2・15H20を新らたに合成した。この両者を比較検討したところ非常によく似た物質であるが異なっており, ナトリウム塩がNa6[W5MnO20]・18H20の多量体と思われるのに対して, カリウム塩はK8[W6MnO24]・15H2Oという単量体構造をもつものと考えられる。また両者とも水素形イオン交換樹脂によって遊離酸の水溶液にかえる場合はWO6八面体間にさらに縮合反応が起り, 固体塩の場合と異なったイオンとなることが認められた。このほか, 赤外吸収スペクトルを他のモリブドマンガン(IV)酸塩と比較して, 一般にヘテロポリマンガン(IV)酸塩は950~800cm-1に二つの大きな吸収があり, その極大波数は大体マンガン1原子に対するタングステンまたはモリブデン原子数の増加にしたがって波数の大きい方に偏椅する傾向が認められた。

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