日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
アロ-β-フェニルセリンからβ-フェニルセリンへの反転
乾 利成
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 83 巻 4 号 p. 493-496,A31

詳細
抄録

前報において,アロトレオニンのトレオニンへのオキサゾリドン誘導体を経由する転換反応にっいてのべたが,もう一つのオキシァミノ酸であるかフェニルセリンについてこの転換反応を検討した。DL-アロ-β-フェニルセリンから合成したDL-シス-4-エトキシカルボニル-2-オキソ-5-フェニル-オキサゾリジンがまったく同一の条件でDL-トランス-2-オキソ-5-フェニル-オキサゾリジン-4-カルボン酸に反転した。こうして得たDL-トランス酸は1N塩酸で加水分解されDL-β-フェニルセリンを与えた。この反転反応もトレオニンの場合と同じく農位炭素原子で反転を起していることは明らかである。ところで,トレオニンの場合にはトランス形とシス形の平衡が6.1:1であったが,β-フェニルセリンの場合には反転が完全におきており,このような差異はおそらく隣接したカルボキシル基とフェニル基の立体障害がメチル基の場合よりも大きいことによると考えられる。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top