日本化學雜誌
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2,4,6-ピリジントリカルボン酸による鉄の定量
森本 市郎田中 征
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1962 年 83 巻 8 号 p. 889-892,A57

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抄録
2,4,6-ピリジントリカルボン酸は,2価の鉄イオンと反応して,水溶性赤紫色キレート化合物を生成する。この呈色は塩酸ヒドロキシルアミンの存在できわめて安定で,pH5.2~6で一定の吸光度を示し,鉄0.4~20ppmの範曲でよくBeerの法則にしたがい,その至適濃度範囲は鉄2~12ppmである。このキレート化合物の組成をそれぞれモル比法,連続変化法,傾斜比法で測定した結果,鉄と試薬のモル比は1:2であった。銅,ニッケル,亜鉛の各イオンによる妨害は比較的大きいが,リン酸,シュウ酸,フッ素イオンによる妨害は実験範囲では認められなかった。検出限界は10mmセルのときO.04ppmであり,鉄の新しい比色定量試薬として十分利用価値があることを明らかにした。
この方法で石灰岩および二酸化マンガン中の鉄を定量してよい結果を得た。
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