日本化學雜誌
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シアナミド誘導体の赤外吸収スペクトルと構造
滝本 雅祥
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1964 年 85 巻 3 号 p. 168-176,A14

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抄録
シアナミドから簡単に生成される単純シアナミド誘導体(オルト炭酸誘導体)であるシアナミド,グアニジン,尿素,ジシァンジアミド,シアノ尿素,ビグアニド,グアニル尿素,ビウレット,メラミン,アンメリン,アンメリド,シアヌル酸,シアノメラミン,グアニルメラミン,メラム,メレム,シアメルル酸,およびそれらの塩類合わせて25種につき,臭化カリウム,塩化カリウム錠剤法およびNujol Paste法により波数3800~650cm-1(塩化ナトリウムプリズム領域)の赤外吸収スペクトルを測定し,主として骨格振動に基づくおもな吸収帯の帰属と各化合物の構造,とくに二重結合の位置を考察した。概してこれらの化合物は固体においても別報の水溶液の場合と同様に,遊離型構造では二重結合がもっとも多くの共鳴をとりやすい(すなわちもっとも安定な)配置を有しているが,酸素含有化合物ではすべて酸素はオキソ型結合をなす。そしてイオン構造(塩類)になるとアミノ型はイミノ型(陽イオン)に,オキソ型はオキシ型(陰イオン)に変化する。またビウレット,シアヌル酸,シアメルル酸はNujol Paste,塩化カリウム錠剤では正常なスペクトルが得られるが,臭化カリウム錠剤では異常となりやすく,その原因がともに水分であることも確認した。
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