日本化學雜誌
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天然水および大気中のアミノ酸
石渡 良志伊藤 昌之助半谷 高久
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1965 年 86 巻 2 号 p. 201-205

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抄録

有機物の地球化学の研究の一環として,著者らは天然水および大気中のアミノ酸の定性と定量を行なった,試料としては,榛名湖水,隅田川,多摩川,新河岸川水,東京都地下水,雨水,雪および大気を用いた。これらの試料の加水分解前後のアミノ酸総量を求めるとともに,ペーパークロマトグラフィーと高電圧口紙電気泳動法を使ってアミノ酸の定性を行なった。その結果つぎのことが明らかとなった。
1) 実験したすべての天然水および大気中にアミノ態の窒素化合物(またはニンヒドリン発色物質)が検出された。
2) アミノ態窒素化合物の存在量は,海水でn×(0.01~0.1)μmol N/l,その他の天然水でn×(0.1~1)μmol N/lおよび大気では0.1μmol N/m3であった。
3) 天然水および大気中でしばしば検出されたアミノ酸は,グリシン,アラニン,バリン,ロイシン,セリンの中性アミノ酸,およびアスパラギン酸,グルタミン酸の酸性アミノ酸であった。
4) 天然水におけるアミノ態窒素量は有機態窒素量の1-4以下を占めるにすぎないことが明らかとなった。このことは,有機態窒素の大部分はタンパク質であるとの従来の考えと矛盾する。その原因をさらに追求する必要がある。

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