1965 年 86 巻 2 号 p. 205-208
アルカリ性の支持電解質である炭酸水素塩溶液中において,アンチモンは錯体を生成し, -0.81vに半波電位を持つ還元波を生ずることを認めた。これについて若干の基礎的な検討を行ない,きらにアンチモンの定量に適用するための可能性について検討した。この波の対数プロットの傾斜は74.6 mVであり不可逆波であると考えられるが,しかしil/h1/2の値が一定値を示し,また温度係数が1.45%であることから,限界電流は拡散律速であることが判明した。溶液のpHを上げていくと半波電位は負側へ移行する。したがってpHの変化につれて各種の錯体が生成するものと思われる。pH 8.3における検量線はアンチモンのl×10-4~1×10-3mol/lの範囲で良好な直線性を示し,アンチモンの定量が可能である。銅,鉄,ビスマス,鉛,セレン,ヒ素,亜鉛は本定量を妨害しない。
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