日本化學雜誌
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ケイ酸ナトリウム水溶液の赤外吸収スペクトル
岩崎 岩次市川 清光
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1968 年 89 巻 12 号 p. 1217-1220

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抄録

ケイ酸ナトリウムの水溶液,重永溶液の赤外吸収スペクトルを測定し,ケイ酸イオンの溶存状態に関する知見をえた。水溶液,重水溶液はKRS-5板を用いた液体セルで測定した。ケイ酸ナトリウムの重水溶液(SiO2lmol/l)は,Na20/SiO2=0.5では,1100,1010,,870cm-1に,Na20/SiO2≧2.0では990,934,820,620cm-1に吸収帯を持つ(600cm-1以下は溶媒自身の吸収のため測定できない)。一方,隔離されたSiO44-4-を持つケイ酸塩β-Ca2SiO4,Fe2SiO4,Mg2SiO4の結晶は1000~800cm-1に,v1,3の一群の吸収帯を持ち,これはNa20/SiO2≧2.0の水溶液における990,930cm-1に相当すると判断され,また鎖状構造を持つケイ酸塩caSiO3(pseudvwollastonite)は1100~900cm-1に一群の吸収帯を持ち,これはNa2O/SiO2=0.5における1100,1010,870cm-1に相当するものと判断される。それにより,Na20/siO2≧2.0の水溶液ではモノケイ酸イオンとして存在し,Na20/SiO2=0.5ではポリケイ酸イオンとして存在している。またモノケイ酸イオンのv8の振動が分裂していることから,SiO4の構造は正四面体ではなくゆがんでいると思われる。

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