日本化學雜誌
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ラネーニッケル触媒の保有水素と水素化および脱水素反応
岸田 早苗久保松 照夫寺西 士一郎
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1968 年 89 巻 3 号 p. 267-271

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抄録

ラネ一ニッケル触媒の保有水素をとり除き,2-プロパノールと反応させると室温付近でも脱水素反応が起こりアセトンが生成することを認めた。この反応は1時間で平衡に達し,最終アセトン生成量は用いた触媒量に比例し,その値は1.4mmol/gNiであった。このことからラネーニッケル触媒の表面には水素を強ぐ吸着する活性点があること,またその量は水素量32ml/gNiに対応することを確かめ,さきに報告しだ保有水素量測定法が十分に正確であると結論した。
また組成の異なるラネー合金を40~90℃ の温度範囲で展開し,水洗回数を変え,あるいは種々の有機溶媒中で加熱処理し,触媒活性と保有水素量を測定し,両者の間に簡単な量的関連性が存在しないという実験結果を得た。最後にケトン水素化反応について,触媒表面に弱く吸着する水素が反応に関与するとして,その機構を推察した。

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