日本化學雜誌
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高純度コロネンの合成と純度測定
岩島 聰大野 公一梶原 峻青木 淳治
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1969 年 90 巻 9 号 p. 884-888

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抄録

コロネンをえるには種々な合成法が報告されている。しかし,いずれの合成法でも不純物としてペンゾ[g,h,i]ペリレン,あるいはペリレンが微量混入してくることがさけられない。
一方,高温タールピッチから抽出分離したコロネン中にも前記不純物を含め多種類の炭化水素が混入してくる。したがって,これらの方法でえたコロネンの光学的性質,とくに不純物の混入に敏感なケイ光の測定は行なうことができない。光学的性質を検討しうる試料をえるためには,不純なコロネンを無水マレイン酸,クロルアニルとともに3時間以上処理し,不純物をカルボン酸無水物として分離除去することによってえられる。
この方法によって精製したコロネンは淡黄色の針状結晶で青緑色のケイ光をもつが,そのケイ光はきわめて弱い。その蒸着簿膜のケイ光スペクトルは,室温で528mμ付近,窒索温度では440mμ付近に極大位を示す。
ケイ光スペクトルの測定から試料中の不純物 (ベンゾ[g,h,i]ペリレン,あるいはペリレン) の濃度は少なくとも10-6mol/mol以下におさえることができることが見いだされた。

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© The Chemical Society of Japan
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