日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
エナミン類とニトロンとの1,3-双極性環化付加反応
柘植 乙彦田代 昌士西原 洋子
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 92 巻 1 号 p. 72-80

詳細
抄録

エナミン類とニトロン〔2〕との1,3-双極性環化付加反応について検討した。エナミン〔1〕と〔2〕との反応ではそれぞれ対応する2,3,5,5-四置換イソオキサゾリジンのシス,トランス異性体混合物が得られたが,エナミン〔4〕,〔5〕は異常生成物を与えた。すなわち,〔2a〕との反応では正常付加体のアミン基がフェニルヒドロキシルアミンで置換された5-(N-ヒドロキシアニリノ)イソオキサゾリジン体が,〔4〕と〔2b〕との反応では,低収率で正常付加体とα,α-ジモルホリノトルエン体が生成した。他方,反応性の高いエナミン〔10〕と〔2〕との反応では正常付加体イソオキサゾリジンがかなり好収率で生成し,〔2a〕,〔2b〕の反応では2種の立体異性体〔11〕,〔12〕が単離された。NMRスベクトルをもとにして〔11〕と〔12〕と構造を推定した。
つぎに,種々の条件下における〔11〕と〔12〕の加水分解反応を検討し,〔11〕と〔12〕とは異なる挙動を示すことを明らかにした。シリカゲル-90%酢酸,室温下で〔11b〕はイソオキサゾリジン-5-オル体を与えるが,〔12b〕は加水分解をうけない。90%酢酸,90°Cの加水分解では〔11b〕からは〔16〕,〔12b〕からは〔2b〕が生成した。一方,ハロゲン化水素酸による加水分解において,〔11〕は主生成物としてハロゲン化生成物2-[α-(ハロアニリノ)ベンジル]シクロヘキサノン体を与えるに対し,〔12b〕は〔15〕を与えた。これら加水分解の径路についても若干の考察を行なった。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top