日本化學雜誌
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4-(2-ピリジルアゾ)レゾルシンによるガドリニウムの吸光光度定量
上田 穣一
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1971 年 92 巻 10 号 p. 849-852

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抄録

4-(2-ピリジルアゾ)レゾルシン(PAR)はガドリニウムと反応して,水溶性の橙赤色錯体を生成する。この呈色溶液は波長516nmに最大吸収をもち, pH 10.1~10.7において一定の吸収を示す。この反応はきわめて鋭敏で,モル吸光係数は8.89×104に達し,ガドリニウム量1.4μg/mlまでBeerの法則にしたがう。 pH 10.2における錯体の組成を連続変化法で検討した結果,ガドリニウム:PAR=1:3であると推定される。
妨害イオンは多いが,酢酸ナトリウムの添加により,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウムをマスクでき,シアン化カリウムの添加により,銅,マンガン,鉄(III),コバルト,ニッケル,パラジウムを,スルホサリチル酸の添加でベリリウムを,チオグリコール酸の添加でスズ(IV),鉛,ビスマス(III),亜鉛,カドミウム,水銀(II)をマスクできる。インジウム,クロム(III),タングステン(VI),スカンジウム,イットリウムおよび他の希土類元素は妨害が顕著である。

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© The Chemical Society of Japan
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