日本化學雜誌
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アルミナ-モリブデナ触媒による吸着酸素のESR
石井 康敬松浦 郁也
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1971 年 92 巻 4 号 p. 302-304

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抄録

アルミナ-モリブデナ触媒による酸素の吸着実験を行なうとともにこれら吸着酸素のESR測定を行なった。
アルミナ-モリブデナ触媒上での酸素の吸着等圧線を求めたところ低温域と高温域で特徴ある傾向がみられ,酸素の吸着は低温域で起こる吸着と高温域で起こる吸着が存在することがわかった。
吸着酸素のESRは-150°C付近よりg=2.04, 2.01, 2.00でO2-イオンと考えられる吸収が, -100°C付近よりg=2.00にO-イオンと考えられる吸収がそれぞれ観測された。また,酸素の吸着による触媒中のMo5+イオンのESR測定から,触媒中のMo5+イオンは低温での酸素の吸着によりいったん増加するが,吸着温度が高くなるにしたがい次第に減少していくことがわかった。
これらの結果から,アルミナ-モリブデナ触媒上での酸素の吸着は,まず低温域で触媒中の陰イオン空孔上でO2-イオンおよびO-イオンとして吸着し,吸着温度の上昇にともない触媒中のMo5+イオンからさらに電子を奪いO2-イオンとして安定化するものと考えられる。

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