1971 年 92 巻 8 号 p. 699-701
既報で140~300°Cで真空加熱した塩化ニッケルがエチレンの二量化活性を示すことを報告した。本報では,この触媒の活性点の性質を検討する目的で,エチレンの水素交換反応およびブテンの異性化反応を行なった。二量化と同様に交換反応も0.1μmol/g・cat.の一酸化炭素で完全に被毒するのに対し,異性化反応はこの量の一酸化炭素によってはまったく阻害されない。また, 230°Cで真空加熱した触媒のときに,これら3種の反応の活性は最大となる。これらの結果から,二量化および交換反応に活性な点と,異性化に活性な酸性点とがこの触媒上に共存し,その酸性点は真空加熱のさいに水と塩化ニッケルの反応によって生成するNi(OH)Clであろうと結論した。また酸性点は二量化反応にも関与していると考えられる。
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