日本化學雜誌
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2-ニトロソ-5-ジメチルアミノフェノールを用いるニッケル塩中のコバルトの溶媒抽出-吸光光度定量
本水 昌二
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1971 年 92 巻 8 号 p. 726-730

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抄録

2-ニトロソ-5-ジメチルアミノフェノール(ニトロソ-DMAP)を用いて,多量のニッケル共存下でのコバルトの溶媒抽出-吸光光度定量法について検討し,市販のニッケル塩(硫酸塩,硝酸塩,塩化物)中のコバルトの定量に応用した。抽出はpH4~7で1,2-ジクロルエタンを用いて定量的に行なわれる。抽出錯体の456nmでのモル吸光係数は6.0×104であった。大部分の陰イオン,および陽イオンは妨害しないが,鉄(II,III),銅(II),ニッケルは試薬と反応し,コバルトの抽出を妨害する。これらはクエン酸によるマスキングでほとんど除くことができる。また過剰の試薬を塩酸(1:2)で洗浄するさいに,抽出されたこれらの共存金属錯体も同時に分解除去される。クエン酸および試薬の添加量を適宜選択することにより,コバルトの約1万倍のニッケル共存下でも十分定量できる。検量線は2-14×10-6mol/lの範囲で直線性を示す。市販のニッケル塩中のコバルトの定量に応用したが,精度,正確さともよく,さらに操作が簡単であり,分析所要時間も従来の方法にくらべてかなり短縮される。この方法は,多量のニッケル共存下でのコバルトの定量法として推奨される。

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© The Chemical Society of Japan
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