日本化學雜誌
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金属イオン-ジニトロオキシン-ローダミンB三元錯体の溶媒抽出に関する研究
桐栄 恭二中藤 和正
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1971 年 92 巻 8 号 p. 731-734

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抄録

水溶液中に存在するネオジム(III)はジニトロオキシン(DNO)と反応し,平衡状態で〔Nd(DNO)4-なる大きな陰イオンを生成する。この大きな陰イオンは大きな陽イオンであるローダミンB(Rhod. B)とイオン対を形成し,ベンゼンに抽出される。ベンゼン相はローダミンBの赤紫色を呈し,その最大吸収波長は553nmで,その吸光度は水相中のネオジムの濃度に比例し,見かけのモル吸光係数は9.27×104であった。この抽出種の組成は,モル比法により, Nd3+:DNO:Rhod. B=1:4:1であることがわかった。
他の金属イオンについて同様の抽出を試みたところ,pH3-8でよく抽出されるものは,コバルト(II),ニッケル(II),マンガン(II),鉄(II),鉄(III)(以上ケイ光なし),亜鉛(II),カドミウム(II),水銀(II),イットリウム(III),インジウム(III),鉛(II),ランタン(III),エルピウム(III),トリウム(IV)(以上ケイ光あり)などがある。これらの抽出種の組成を調べたとろ,n価の金属イオンに対して,ジニトロオキシンが(n+1)分子配位したものに,さらにローダミンBが1分子結合していることがわかった。

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