日本化学会誌(化学と工業化学)
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木ロウ粒子群の天日漂白における反応時間の短縮に関する計算
古茂田 瞭三西 泰英
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1972 年 1972 巻 6 号 p. 1183-1189

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抄録

木ロウさらし操作では,通常木ロウを薄片状または粒状にして天日さらしを行ない,その途中で木ロウ粒子群を融解して(中煮と呼ばれている)未反応有色物質の均-化および反応生成物の分離除去をはかつている。本研究では粒子内の局所光強度に着目してさらし反応のモデル化を行ない,中煮操作のさらし反応時間の短縮における役割について考察を行なつた。なお,木ロウ粒子群の粒径分布は対数正規分布にしたがうものとして解析を行なった。中煮をはさむ2回のさらし反応における反応所要時間を簡単化したモデルに基づいて数値計算した結果,経験的に行なわれてきた中煮操作が反応時間の短縮に有効であることを理論的に推測することができた。また,2回のさらし反応において最適(最短)さらし反応時間が存在することを見いだし,反応時間短縮のための条件などに関する考察を行なった。本モデルを用いて計算を行なった範囲では,対数標準偏差Σが大きくなるほど,また,吸光係数が大きくなるほど,中煮による試料均-化操作が反応時間の短縮にとってますます有効となることがわかった。

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