抄録
3,5-キシレノールーホルムアルデヒド樹脂を1800~3000℃まで熱処理して得た試料について,既報の石油コークスの場合と同様に,高温X線を用いて。軸方向の熱膨張を室温から900℃まで測定した。その結果,20Cにおける熱膨張係数は,試料の熱処理温度の高くなるにつれて2.7x10-5 C-1から2。8x10-5C-1まで増加することがわかった。層間距離の減少,結晶子の見かけの大きさの発達および'軸方向の格子ひずみの減少にともなって,熱膨張係数は増大することが知られた。
一方,X線反射強度の温度変化から。軸方向の炭素原子の熱振動の大きさを求めた結果,20。Cにおける平均二乗変位は0.015A2から0.012,A2と試料の熱処理温度の高くなるにつれて減少した。
3,5-キシレノールーホルムアルデヒド樹脂カーボンは石油コークスとくらべると,黒鉛化姓が悪く,熱膨張係数は若干小さく,炭素原子の熱振動の大きさは若干大きいことが知られた。