日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
六甲山系河川水の水質
日下 讓佐川 直史
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 1974 巻 12 号 p. 2322-2327

詳細
抄録

六甲山系河川水の地質による水質の差異を明らかにした。花コウ岩地域全域の河川水の溶存成分平均濃度は全日本河川水平均値とほぼ一致する。また,その各溶存成分間の相関係数を求め,花コウ岩のCO2風化作用の寄与を明らかにした。
花コウセン緑岩地域の溶存成分濃度は,黒雲母花コウ岩地域にくらべてフッ素を除いて高値を示す。秩父古生層地域はその比較的高いマグネシウム量に特色が見られ,さらに輝石安山岩地域ではその傾向が顕著である。水質のこれらの地質,による差異はCa/T.C.-Mg/T.C.の当量関係によって明らかに表わされる。
河川水中のフッ素の全域における分布およびフッ素と他の溶存主成分間の相関係数を求めることにより,六甲山系北東部の花コウ岩におけるフッ素の濃縮と,その風化溶出作用を推論した。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top