1974 年 1974 巻 12 号 p. 2318-2321
本研究は高密度で結合材を使用しない炭素成型品(ピッチカーボン)を作成し,その特徴を明らかにすることを目的とした。ピッチカーボンの焼成段階での収縮を押えるために,変質ピッチ粉末を1600kg/cm2の高圧下で成型した。成型物を2200℃以上で焼成することによって,カサ比重1.8g/ml以上をもつピッチカーボン(12×12×95mm)を損傷なく作成できた。このピッチカーボンはショアー硬度,圧縮強さなどの機械的性質においてはガラス状炭素に近かった。一方,電気比抵抗,熱伝導度,黒鉛化性などにおいてはピッチとコークスを原料とする普通の人造黒鉛に類似していた。全体的性質からみて,このピッチカーボンは他の二つの炭素成型品の中間の炭素材として特徴づけられた。また高圧成型が高密度ピッチカーボンの大型化に対して有効であることが確証された。
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