日本化学会誌(化学と工業化学)
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土壌および底質中のクロムの原子吸光分析
中川 良三大八木 義彦
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1974 年 1974 巻 12 号 p. 2331-2335

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抄録

空気-アセチレンフレームを用いて土壌中のクロムを原子吸光で分析するため,土壌の分解法を検討するとともに干渉成分とその除去法について研究した。
土壌は塩酸を用いて分解処理することによって,ほぼ完全にクロムを溶脱することができた。硝酸や王水を用いて処理した場合には,全クロムはやや低い値を与えた。
測定条件は波長357.9nm,空気圧1.5kg/cm2(流量7.1l/min)の,アセチレン圧0.28kg/cm2(流量1,4l/min),光路の高さ18mmで行なった。
共存成分の影響としては,鉄,チタン,バナジウム,ニッケル,コバルト,マグネシウム,バリウムがクロムの吸光を低下させた。鉄,チタン,バナジウム,ニッケル,コバルトの干渉は硫酸カリウムによって抑制できた。マグネシウムとバリウムの干渉は,アルミニウムが共存することによって抑制された。
土壌中には,干渉性の元素がクロムにくらべて多量含まれるが,抑制効果のあるカリウム,アルミニウムが含まれているので,酸処理した溶液をそのままフレーム中に噴霧してクロムの原子吸光を測定できる。

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