日本化学会誌(化学と工業化学)
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アセトン溶液中の塩化コバルト(II)錯体間の平衡に対する圧力効果
大杉 治郎原 公彦石原 泉中野 俊郎
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1974 年 1974 巻 5 号 p. 821-824

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抄録

アセトン溶液中の塩化コバルト(II)錯体について8000 kg/cm2までの高圧下で可視吸収スペクトルの測定を行ない,下記のような2種類の化学平衡が存在することを確認した。
CoC12 (Ac)2-4 Ac a Ce(Ac) 62+ -2 Cl- (1)
CoC12(Ac)2- Cl- a CeCls (Ae)m- Ac (2)
Acは溶媒のアセトン分子を表わす。水溶液,各種のアルコ一ル溶液の場合のような4配位と6配位との間の平衡である(1)のほかに,配位数は同じ4配位であるが配位子が置き換わる平衡(2)が存在することがわかった。
これらの平衡について加圧による平衡移動にともなう体積変化ΔVを算出した。平衡(1)はイオンの生成をどもなうもので,ΔV1は負で絶対値の大きな値となる。平衡(2)に対する圧力効果はきわめて小さい。

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