日本化学会誌(化学と工業化学)
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カラマツ(Larix leptolepis)酸性成分のラジカル重合阻害効果
往西 弘次城代 進後藤 輝男
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1974 年 1974 巻 5 号 p. 944-947

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抄録

カラマツ(Larix leptolepis)中のカルボニル化合物および酸性成分が酢酸ビニルのラジカル重合におよぼす阻害効果を,ディラトメーターを用いて,重合温度47℃で,重合曲線から明らかにした。
酢酸ビニルの重合に対し樹脂酸および有機酸は明確な誘導期を与えることが認められ,またフェノール牲成分は強い抑制作用があることが明らかになった。しかし,カルボニル化合物の場合は誘導期が認められなかった。有機酸の添加率と誘導期とは比例関係にあった。また,抑制効率(k/k0)から,有機酸はフェノール性成分よりも強い重合抑制効果があり,カルボニル化合物は樹脂酸よりも強い重合促進効果があることが明らかにされた。その結果,酢酸ビニルの重合はカラマツ抽出物中の有機酸,フェノール性成分などの酸牲成分(O.74%)によって阻害されることを認めた。

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