日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
分散染料の光退色におよぼすAnnellationの影響
北尾 悌次郎和多田 幸夫松岡 賢小西 謙三
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 1974 巻 5 号 p. 939-943

詳細
抄録

二三のアントラキノン系,アゾ系およびキノフタロン系分散染料とクマリン誘導体の光退色挙動がポリエステルまたはポリアミドフィルム上で調べられた。そしてこれら染料や誘導体の光退色におよぼすAnnellationの影響が検討され,それらの光退色機構が考察された。
キニザリン系誘導体ではAnnellationによる耐光性の変化は認められないが,アミノアントラキノン系では6,7-Annellation化により退色が搾制され,アミノ基の塩基性度が増すほどその影響が大きくなっている。アゾ系染料ではAnnellationによってジアゾ成分の電子吸引性が小さくなるほど,またはケトヒドラゾン溝造の寄与が大きくなるほど,温光性が低下する。またクマリン系誘導体では,3.4-ベンゾクマリン以外のAnnellation化物がいずれもクマリン自身の耐雨渓よりいちじるしく低下する。そして,水酸基をもたないキノフタロン系では,Annellationによって耐光性の低下がみられ, o-ヒドロキシアゾベンゼン系やクマリン系などの場合と同様,骨格の塗薬をともなう光不安定な系ではAnnellationによりその光退色がかなり加速される。一方,ヒドロキシキノフタロン系では,5,6-ベソゾ誘導体の耐光性は向上し,6,7-ベソゾ体のそれは低下するのがみられ,アントラキノン系の場合と同様,母体骨格が光安定な系ではAnnellationによって耐光性が向上するが, Annellationによって母体骨格が光不安定になる場合には燈光性が低下する。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top