日本化学会誌(化学と工業化学)
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3-ヒドロキシ-4-(m-メタクリルアミドフェニルアゾ)-2-ナフトエ酸=アリールアミド類の単独重合物とその互変異性
犬飼 吉彦
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1975 年 1975 巻 12 号 p. 2161-2165

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抄録

ジアゾ成分の方に重合可能基をもったナフトールAS系アゾ色素の単独重合物の組成(重合度および重合度分布)と,その互変異性と耐光性の関連を調べるため,3-ヒドロキシ-4-(3-メタクリルアミドフェニルアゾ)-2-ナフトエ酸=アリールアミド類の単独重合体を合成した。モノマー色素は,m-メタクリルアミドフェニルジアゾニウム塩と3-ヒドロキシー2-ナフトエ酸アリールアミドとのカップリング反応により合成した。アリール基としては,C6H5,3-NO2C6H4,2-CH3C6H4,2-CH30C6H4,4-ClC6H4,β-C10H7である。GPC分析により,これらポリ色素は2~10量体の混合物であり,その平均重合度は4~5であった。可視吸収スペクトルでケト-エノール互変異性を調べたところ,ポリ色素はモノマー色素にくらべてケト形の含量が減少していることがわかった。互変異性と色素の耐光性との関連をポリ(メタクリル酸メチル)フィルム中で調べたところ,モノマー色素ではケト-エノール比が退色中ほとんど変化しなかったが,ポリ色素は退色につれてケト形が大きく減少する傾向を示した。ポリ色素の耐光性がモノマー色素よりも劣るのは,ケト-エノール間の転移が重合によって,ある程度妨害されるのが,その原因の一つではないかと考えられる。

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