日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
カドミウム黄代替顔料としての臭素化3'-ヒドロキシベンゾ[b]キノフタロン
松岡 賢織田 博則北尾 悌次郎
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 1975 巻 12 号 p. 2166-2170

詳細
抄録

毒性の無機顔料であるカドミウム黄に代替可能な有機顔料の開発を目的として,臭素化3'-ヒドロキシベンゾ[b]キノフタロン誘導体を合成した。そしてこれら化合物の色調,耐光性,耐熱性,耐溶剤性など顔料諸物性におよぼす臭素置換基の数と位置の効果について検討考察した。その結果,顔料の色調は臭素原子の数とともに赤色移動すること,ナフタレン骨格への臭素原子の導入はその数とともに顔料諸物性の向上をもたらすが,キノリン骨格の4'-位または8'-位への導入は耐溶剤性に不利であり,また6'-位への導入は耐光性に対して位置特異的に不利であった。また耐熱性は臭素原子の導入とともに向上するが,テトラブロモ体以上に臭素原子を導入しても効果がなしか,かえって不利になることがわかった。以上の点から5,6,7,87テトラプロモ-3'-ヒドロキシベンゾ[b]キノフタロンをカドミウム黄に代替可能な新規有機顔料として提案した。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top