日本化学会誌(化学と工業化学)
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弱塩基性芳香族第一アミンのジアゾ化(その1) ―無機塩の影響―
大坪 栄一郎黒田 敏男橋田 洋二関口 自然松井 弘次
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1975 年 1975 巻 12 号 p. 2178-2182

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抄録

弱塩基性芳香族第-アミンをジアゾ成分とするアゾ色素に関する研究の-環として,弱塩基性芳香族第一アミンのジアゾ化中に起こる副反応を解明するため,2,4-ジニトロ-6-プロモベンゼンジアゾニウム化合物[1'],および2,4-ジニトロ-6-クロロベンゼンジアゾニウム化合物[2']とご三の無機塩との反応を硫酸中で検討した。[1']はNaNOaとの反応で,濃硫酸中,銅触媒がなくとも-N2基が優先的に置換された2,3,5-トリニトロブロモベンゼンと3,5-ジニトロ-1,2-ジブロモベンゼンを与えることがわかった。
一方,無機ハロゲン化合物(KF,NaCl,NaBr,KI)との反応では[1ノ]はKFの場合を除き,-N露基の置換により対応したハロゲン化合物を与えた。ハロゲン化合物の収率はつぎの順序であった。
F<CI<Br<1
同様な結果は[2]の反応においても得られた。
同様に,2,4-ジニトロアニリン,p-ニトロアニリン,アニリンから誘導されるジアゾニウム化合物と無機ハロゲン化合物との反応を調べたが,ハロゲン化合物の収率は芳香核中のニトロ基の数が少なくなるにともなって低下することがわかった。
これらの結果は,これらの反応における-N2基の置換が2分子反応機構によって起こったことを示唆している。一般に,塩基性が弱く,適度な求核性をもつ求核試薬は硫酸中においても[1']および[2']と反応して-N2が脱離し,対応した置換生成物を与えることができるといえよう。

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