日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
β-シクロデキストリンと4-アミノアゾベンゼン誘導体との相互作用とその染色性におよぼす影響について
渋沢 崇男浜寄 卓哉佐々木 路登
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 1975 巻 12 号 p. 2171-2177

詳細
抄録

4-アミノアゾベンゼン誘導体(非イオン染料7種,酸性染料1種)とβ-シクロデキストリン(βCD)との水溶液中における相互作用を分光法で検討した。反応によるスペクトル変化,染料構造による熱力学関数値の変化などから,染料のアミノ基をもたないフェニル核部分がβCDの空洞内に包接され,1:1型のコンプレックスが形成されると推定された。
コンプレックスは染着せず,遊離の染料のみが基質に吸着,拡散するとすると,平衡でコンプレック濃度βCD濃度の有限浴ではβCDを添加したときの非イオン染料の平衡染着率A..は次式で表わされる。
ここで,Kは分配係数,Lは浴比,bはβCDの初濃度,K'はコンプレックスの形成定数である。染色速度の変化は上式のAを用いて理論的に予測することができる。ポリアミド~非イオン染料~βCDの染色系ではA,染色速度とも理論値と実験値はよく一致した。
βCDは上記の非イオン染料に対して染料親和性緩染剤として作用した。βCDは親和力が大きく,繊維内拡散係数の小さな染料に対して良好な緩染効果を示した。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top