日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
ニッケル錯体触媒によるメチルアセチレンの重合
今泉 文武池田 弘治平柳 滋敏森 寛
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 1975 巻 12 号 p. 2225-2228

詳細
抄録

メチルアセチレンの反塔生成物におよぼすニヅケル錯体の原子価の影響を知る目的で,0価および1緬のニッケル錯体を用い,メチルアセチレンの接触作用を調べた。用いた0価のニヅケル錯体は,ビス(L5-シクロオクタジエン)ニヅケル,ビス(π-アリル)ニッケル,ビス(アクリロニトリル)ニッケル,ビス(かブチルインシアニド)ニヅケル,およびこれらの誘導体であり,1価の錯体はπ-アリルニヅケルハライドである。
0価錯体によるメチルアセチレンの反応では,主として低分子量化合物(メチルアセチレンの数量体程度まで)が生成するが,1価錯体では低分子量物は生成せず,ポリマー(メチルアセチレンの20量体程度)のみであった。
二,三量体の構造を調べたところ,鎖状二量体,鎖状および環状三量体であった。π-アリルニッケルハライドによるメチルアセチレンの重合では,生成ポリマーの分子量および収率が,π-アリルニヅケルハライドのハβゲン原子により影響を受けることがわかった。また,π-シンナミルニッケルクロリドを触媒に用いたところ,ポリマーにフェニル基が結合しており,π-シンナミル基から重合が開始したと考えられる。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top