日本化学会誌(化学と工業化学)
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Al2O3-MoO3-ペリレン系のESR吸収のマイクロ波入力依存性
上田 壽
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1975 年 1975 巻 3 号 p. 422-426

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抄録

ペリレン-A1203-MoO3-ベンゼン系から得られるg=2付近のESR吸収が二つ以上の成分を含んでいるかどうか,およびESR吸収強度とマイクロ波入力の関係が非線型でないかどうかを見る目的で,ESR吸収のマイクロ波入力依存性を測定した。ペリレン-ベソゼソの接触によりA1203-MoO3の表面には9本の超微細構造線からなるESR吸収(U),超微細構造のないESR吸収(V),とMo5+のESR吸収の三つの吸収が生ずる。 UとVの吸収は重なっているが,スペクトルの入力依存性を利用して分離することができた。Uはペリレソカチオソによるものであることがすでに知られている。 AlzO SlMoO3を300C,10-9 mmHgで十分脱水すると,ほとんどUのみからなるESRスペクトルが得られることをスペクトルのシミュレーションにより確認した。ペリレンカチオソが酸化物表面に吸着された水分子や02-との間に水素結合を生成して安定化するとともに分子運動が束縛されることが超微細構造のないESRスペクトルVを与える理由であると結論できる。Vの方がUよりも入力飽和の小さいこともこのような考え方でよく説明できる。これら常磁性種のESR吸収は0.3mW以下のマイクロ波入力では,マイクロ波入力の値に比例することがわかった。

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