日本化学会誌(化学と工業化学)
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硫酸メチレンと加圧一酸化炭素によるグリコール酸メチル合成反応の速度論的研究
柳ケ瀬 昭杉田 信之工藤 清竹崎 嘉真
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1975 年 1975 巻 4 号 p. 583-590

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抄録

非プロトン溶媒下において硫酸メチレンと加圧一酸化炭素からグリコール酸メチルが生成することを見いだし,この反応を速度論的に検討した。反応速度は一酸化炭素圧の一次,硫酸メチレン初濃度のほぼ一次であり,硫酸メチレンは熱溶媒中において(i)で示される分解平衡の状態にあることがわかった。
これらの結果から下記の反応機構を設定し速度式を誘導した。
(i)
[CH2OSO3] + CO(d) →k [CH2(CO)OSO3] (ii)
[CH2(CO)OSO3] + 2CH30H → 系外 CH2(OH)COOCH3 + CH3OSO3H (iii)
このようにして導かれた速度式は反応諸因子の影響を定量的に説明し得,80℃における平衡および速度定数として,K1=1.2222x10-2 K2=5.6x10-3, k=6.05 min-1 1,2-ジクロロエタン,テトラクロロエチレンに対する一酸化炭素の溶解に関する Henry定数として, H COEDC=6.8x10-4 kg-1 , cm2, H COTCE=8.4x10-4kg-1 , cm2,また本反応の見かけの活性化エネルギーとして28.9 kcal , mol-1を得た。
さらに本反応を 1,2-ジクロロエタン,テトラクロロエチレンの混合溶媒中で行ない誘電率と反応速度との関係を検討し,本反応は双極子間の二分子反応であることを明らかにした。

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