淡水の紫外吸収スペクトルを水質の記述の観点から実験的に検討した。
1)400数検体の淡水試料の吸収スペクトルを吸収極大,200±数nmにおける変曲点の有無,それらの位置により4種類に分類した。
2)河川水の紫外吸収スペクトルにおよぼす硝酸イオンの影響について検討した。その結果,E210/E220≧1.75, E210≦2.06の条件を満たす検体の,210nmにおける吸収はほぼ100%が硝酸イオンによるものと考えられた。
3)E210と硝酸イオンの間に相関関係のない検体を識別する方法,およびその値について検討した結果,E210/E220≧1.75が最適であると判断された。
4)上に述べた2点から,日本にみられるありふれた河川ではE210/E220≧1.75,つまりその程度にしか硝酸イオン以外に紫外吸収物質が含まれていないときには,E210に硝酸イオン以外の紫外吸収物質の影響がほとんどないことが明らかとなった。
5)E210/E220≧1.75,E210≦2.06の条件を満たす検体のE210とブルシン法により定量された硝酸態窒素濃度との間に相関係数r=O.980の関係があった。すなわち,E210により河川水中の硝酸態窒素濃度の推定が可能となった。
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