日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
5,6-二置換 2-ノルボルネン類のエポキシ化反応
柳田 佑二重里 英夫野村 正勝吉川 彰一
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1975 年 1975 巻 4 号 p. 657-660

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抄録

いくつかの置換基をもつ5,6-二置換 2-ノルボルネンの過安息香酸を用いたエポキシ化反応について検討した。NMRスペクトルの解析から,生成物はすべてexo-cisエポキシドであった。同じ置換基をもつ三つの異性体に関しては,エポキシ化の反応速度は,エキソーシス < トランス < エンド-シス体の順であった。このようなエキソ-シス付加反応では,エンド置換基の立体障害を考えなくてもよいからこの付加反応速度の順は主として置換基の極性効果によるものと考えられ,エキソ置換基の方がエンド置換基よりも極性効果が大きい。この傾向は既報のジアゾメタン付加反応の場合と一致しており,このような置換基効果はKirkwood-Westheimerのモデルで試算したF効果で説明できると考えられる。

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© The Chemical Society of Japan
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