日本化学会誌(化学と工業化学)
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クレゾールスルホン酸類の脱スルホン化速度ならびに m-クレゾールの分離
村本 慶博朝倉 英行
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1975 年 1975 巻 4 号 p. 672-677

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抄録

クレゾールスルホン酸類の脱スルホン化速度を測定し,ついでスルホン化-加水分解法を改良して高純度のm-クレゾールを分離することができた。2-メチルフェノール-6-[1]および-4-スルホン酸[2],3-メチルフェノール-6-[3]および-4-スルホン酸[4],4-メチルフェノール-2-スルホン酸[5]をそれぞれ合成し,47%臭化水素酸で加水分解するとこの反応が擬一次反応にしたがうことがわかった。100℃における速度定数は,それぞれ10.1,0.635,15.1,26.7,5.99 × 10-3 min-1であった。m-およびP-クレゾールを55~65%硫酸を用い,30~40℃で処理すると,m-クレゾールの反応量はP-クレゾールの3~5倍であった。混合クレゾールの改良分離法として,90%硫酸で20℃に2時間たもち,さらに100℃で3時間スルホン化を行ない(m-クレゾールの全部と,1/5のP-クレゾールが反応し,廃酸が65%になる),ついで未変化クレゾールをベンゼン抽出で除き,スルホン化物に120~135℃で過熱水蒸気を通じて分解すると,純度97~99%のm-クレゾールが80~90%収率で簡便に得られた。

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