日本化学会誌(化学と工業化学)
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ポリスチレンの熱分解反応 ―生成物収率の予測―
黒木 健沢口 孝志池林 信彦池村 糺崎川 範行
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1976 年 1976 巻 11 号 p. 1766-1772

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抄録

分解条件の強度関数を実験式として誘導し,分解成績の予測の可能性と指数項"a"値の評価について検討し,重質成分の定性を試みた。その結果,2.4-ジフェニル-1-ブテンを含む3種類の二量体を確認した。熱分解反応は,(I)二量体以上の重質分の減少とスチレンの増加,(II)スチレンの減少と副生成物の増加に大別できる。水蒸気希釈比は重要でなく,分解因子は反応温度および滞留時間に限定され,それぞれはよい互換性を示す。
強度関数(Ip)は反応温度および滞留時間によって表わされ,特定成分スチレン収率を指標として,つぎの実験式を得た。
2種の反応の"α"値の相違は,高分子量体での分解過程において,とくに滞留時間の寄与が重要であることを示す。また,熱分解初期段階においても本法の適用が可能であることが示唆される。
Ipは生成物収率とよい相関性を示し,反応条件の選択によって分解成績の予測が十分に可能になった。反応(I)のIpは単量体回収プロセスにおいて重要である。

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