1976 年 1976 巻 12 号 p. 1808-1815
SO2と微量の水分を含むN2や空気中に1.2MeVの高速電子線を照射し,その結果生成するエーロゾルを反応系中を通過するHe-Neレーザー光の透過量の減衰つまり濁度として観測した。照射初期において系の濁度は照射時間の2次,また照射電子線電流の1.8次に比例する。この結果は,つぎの動力学的モデルを導いた。すなわち,電子線照射によってエーロゾル前駆物質(硫酸)が生成し,急速な微粒子化ののち,粒子上への前駆物質の吸着と粒子間の凝集によってエーロゾル粒子の成長が起こる。濁度はRayleigh散乱で取り扱うことができ,濁度増加の実験結果を説明できた。電子線照射を中断したのちの濁度増加の実験結果からエーロゾル粒子問の凝集速度定数を決定することができた。また,エーロゾルの濁度スペクトルの結果も上記の動力学的モデルに矛盾しないことを確認した。さらにエーロゾルの濁度増加のNO,CO添加効果から,SO,がエーロゾル前駆物質としての硫酸に変化する過程において,OHを主とする活性種による酸化反応が重要な寄与をすることが推論された。
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