日本化学会誌(化学と工業化学)
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シクロデキストリン存在下でのp-ニトロフェノールのポーラログラフ的挙動と包接化合物の解離定数の測定
山口 整毅塚本 務人
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1976 年 1976 巻 12 号 p. 1856-1861

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抄録

α-およびβ-シクロデキストリン(α-,β-CD)の存在下におけるp-ニトロフェノール(PNP)の直流-交流ポーラログラフ的挙動を研究した。α-CD,β-CDともに滴下水銀電極に吸着した。酸性溶液中でα-CDが存在するときPNPの還元波は波高比が2:1の二つの波にわかれた。この結果はECE反応機構によって説明され,PNPの4電子還元につく脱水反応がα-CDの吸着膜によって抑制されるものと考えられた。第2波はα-CDの脱着する電位に現われ多全波高は拡散律速であった。β-CDが存在するときにはβ-CDの脱着電位で6電子還元の-つの波が現われ,PNPの還元はβ-CDの脱着後に生じるものと考えられる。酸性および塩基性の溶液中における6電子還元の全波高は拡散律速であり,CDの濃度を増加すると波高は減少した。これはPNP-CDの包接化合物の形成によるものと考えられる。酸性,塩基性溶液中における包接化合物の解離定数を(8)式を用いて逐次近似法により求めた。

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