日本化学会誌(化学と工業化学)
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9-アリール-9-(2-メチル-9-フルオレニル)フルオレン誘導体のC(9)-C単結合の束縛回転
藤崎 静男長島 晶子原 宏梶返 昭二
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1976 年 1976 巻 12 号 p. 1874-1877

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抄録

種々の9-アリール-9-(2-メチル-9-フルオレニル)フルオレン誘導体[4]を合成し,これら化合物のC(9)-2-メチル-9-フルオレニル(Cεp,-Cε)単結合およびC(9)-アリール(C,p,-C,p,)単結合の束縛回転をDNMRスペクトルから検討した。[4]のアリール基としてはフェニル[4a],p-トリル[4b],z-トリル[4c],o-トリル[4d],1-ナフチル[4e]および9-フェナントリル[4f]を選んだ。化合物[4d],[4e]および[4f]では室温でのNMRのメチルシグナルが幅広く観測されることから,これらは室温ですでにC-C単結合に束縛回転が起こっていることが判明した。また[4a],[4b]および[4c]についてはCεp,-C,p,結合およびCp,-C,p,結合の回転についての活性化自由エネルギーの測定値がほぼ等しく,これらの化合物の二つの単結合はギヤ効果を受けて同時に回転しているものと推定した(9)(2-メチル-9-フルオニル)結合:ΔG=11.7kcal/m。1,c(9)-トリル結合:ΔG=12.Okcal/mol。
つぎに[4]の低温での安定配座は,C3P,-Csμ結合に関してはすべてSC形をとっており,観測されたCεp,-C,p,結合の回転の,4G3値は+5-50間の交換のエネルギー障壁を見積ったものであると推定した。

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