1976 年 1976 巻 12 号 p. 1904-1907
亜リン酸トリス(ジエチルアミド)P(NE)3とチオール類の反応について検討した。
反応はTHF溶媒中,温度25℃において容易に進行する。1-オクタンチオールとの反応ではチオリン酸トリス(ジエチルアミド)と,オクタンを生成し,ベンゼンチオールとの反応ではチオ亜リン酸3-フェニル=ジアミドとジエチルアミンを生成した。
チオール類の脱硫黄の起こりやすさは,つぎの順序であった。
これらの反応は亜リン酸エステルの反応と異なり,イオン的に進行する。
反応経路としては,まずホスホニウム塩またはアンモニウム塩を生成し,ついでジエチルアミンの脱離によって,チオ亜リン酸エステルジアミドを生成する。
ベンゼンチオール,α-トルエンチオールのような芳香族チオールの反応はC-S結合が開裂せず,チオエステルにとどまるが,β-フェニルエタンチオール,シクロヘキサンチオールおよび1-オクタンチオールではC-S結合の開裂をともない,チオリン酸トリス(ジエチルアミド)と炭化水素を生成する。
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