日本化学会誌(化学と工業化学)
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混合摩砕によるポリ塩化ビニルのメカノケミカル分解におよぼず二酸化ケイ素の影響
安江 任相沢 貞荒井 康夫
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1976 年 1976 巻 3 号 p. 415-421

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抄録

二酸化ケイ素(SiO2)-ポリ塩化ビニル(PVC)混合摩砕においてPVC粉末のメカノケミカル分解におよぼすSiO2添加およびふん囲気の影響について検討を行なった。
PVC粉末(重合度1510)を空気中および窒素中で単独摩砕すると重合度低下,脱塩化水素の増大による炭素一炭素二重結合の生成が観察された。しかし,PVC分子の主鎖(C-C結合)および側鎖(C-Cl結合)の機械的切断によるメカノケミカル分解の程度はわずかで,ふん囲気の影響も大差はみられなかった。
一方,PVCとSiO2を空気中と窒素中で混合摩砕すると,メカノケミカル分解は促進されるが,とくに空気中より窒素中においていちじるしい。窒素中24時間混合摩砕物で比較すると,PVCの重合度はPVC/石英粉末重量比1/1摩砕物で500,1/4で200, またPVC/シリカゲル重量比1/1摩砕物では100といちじるしく低下する。さらに,C-C1結合の機械的切断による脱堪化水素量と二重結合の数はそれぞれ16%,15/1000モノマーと増加した。混合摩砕物中のシリカゲルの固体酸性度の変化から,PVCのメカノケミカル分解は石英の添加にみられるような物理的な粉砕助剤効果ばかりでなく,混合摩砕物中に生成したSiO2の薪鮮表面の触媒的作用が重要な役割をもつことが確認された。
さらに,摩砕によるSiO2とPVCの活性表面間でのメカノケミカル反応の可能性が赤外吸収スペクトルから示唆された。

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