日本化学会誌(化学と工業化学)
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吸湿による水溶性塩類の表面物性変化-臭化ナトリウムを用いて-
近沢 正敏海保 守金沢 孝文
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1976 年 1976 巻 3 号 p. 410-414

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抄録

吸虚時あ粉鉢表面構造変化を鋭敏に表現すると考えられる吸湿曲線,X線回折強度,蓑面積,表面電導度の各変化を測定することにより,臭化ナトリウムの吸湿過程を総合的に調べた。雰囲気中の水蒸気を増していったときの表面物性変化がはじまる相対湿度は,上記各手法によりおのおの決定されるが,それらの聞には若干の差があり,各方法の感度や特性の差に起因するもの考える.また本各方法単独では吸湿過程中に起こるすべての物性変化をチェックすることはできないので,吸湿過程全般を取り扱う研究では,種々の方法を用い,それらをたがいに比較検討することが重要である。水蒸気吸着等温線と上記の方法により得られた結果とを対照させることにより,表面物性変化に必要な吸着水膜の厚さが決定された.本報の対象にとりあげた臭化ナトリウムの30℃での吸湿過程は,吸着水膜の厚みの増加とともに,つぎのように段階的に進むことがわかった。
単分子層吸着(7~10%rH)→2分子層吸着・水和イオンの形成(24%rH)→ 4~6分子層形成・二水和物形成(38%rH)→ マクロな水溶液膜形成(46~48%rH)→ 飽和水溶液膜形成(56%rH)→ 潮解

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