日本化学会誌(化学と工業化学)
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N,N-ジメチルホルムアミド溶媒中におけるセルロースとクロロフェニルカルバニラートの反応
大野 泰雄内本 岩宏
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1976 年 1976 巻 3 号 p. 508-511

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抄録

ブロックイソシアナートとして,クロロフェニルカルバニラート(o-およびp-CPCA)を用い,繊維状で高窒素含量のセルロースカルバニラートを得る反応条件を求めた。その結果,o-CPCAを用いた場合,反応温度120℃,反応時間10時間,反応系中の各成分の重量比が, Cottonリンター:DMF:o-CPCA=1.00:40.6:27.4(セルロース=トリカルバニラートを得る理論量の6倍)で最高窒素量5.5%のセルロース=トリカルバニラートを得,p-CPCAを用いた場合,反応温度120℃,反応時間10時間,各成分の重量比が,Cotton リンター:DMF:p-CPCA=1.00:60.9:13.7(セルロース=トリカルバニラートを得る理論量の3倍)で最高窒素量5.3%を得た。同じ反応条件のもとではo-CPCAの方が,p-CPCAより反応性に冨んでいることがわかった。
さらに生成した種々の置換度のセルロース=カルバニラートにつき,X線回折図をとり,未反応で残存するセルロースIの結晶化度を測定し,反応過程の追跡を行なった結果,この反応は非結晶領域から結晶領域へと進行するきわめて不均一な反応であることを示す。

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