九州地方の低汚染または未汚染河川水中のカドミウム含有量を求め,亜鉛含有量と対比しながら考察した。
(1)普通の河川水中のカドミウム含有量は全域54河川,117試料でo.054μg/l(幾何平均)で亜鉛にくらべ河川間の差異は少ない。
(2)カドミウムで汚染された坑内水およびその影響をつよく受けた河川水ではCdとZn含有量との間に強い正の相関があり,Zn/Cdは150である。しかし普通の河川水においてはこの二つの元素の含有量の間にはあまり相関が認められない(相関係数+0.282)。
(3)カドミウムを含む鉱床地帯の河川水中のカドミウムは,当然鉱床に由来するが,普通の河用水中のカドミウムは,もともと降水中に含有されているカドミウム由来のものも多いと推定される。
(4)流域が都市化したり,自動車交通量が増加したりすると河川水中の亜鉛含有量は増加するが,カドミウム含有量には大きな変化が認められない。このようにカドミウムと亜鉛はつねに関連させながもら考察をすすめる必要がある。
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